NO.4特定非営利活動法人リナスト 中野直哉さん

今年度第4回目となる事業所インタビューでは、半田市に3つの事業所を構える「特定非営利活動法人リナスト」の中野直哉さんにインタビューをさせていただきました。

皆さんは「特定非営利活動法人」と聞いてどのようなイメージを持たれるでしょうか?

私自身この取材に伺う前まで、「特定非営利活動法人」という言葉から受ける印象として、モノの売買やサービスを提供して利益を得る一般的な企業とは違い、どちらかというとボランティア団体に近いのかなというイメージを持っていました。

今回理事長を務める中野直哉さんにお話を伺い、その辺りも詳しくお聞きすることができました。

「特定非営利活動法人理事長」と聞くとお堅い人物像をイメージしてしまいがちですが、中野直哉さんは物腰も柔らかくとても気さくで話しやすい方です。

今のお仕事を始めるきっかけを教えてください。

私は大阪出身で高校まで将来の目標もなく、大して勉強もしてこなかったため浪人生になったのですが(笑)、当時私が住んでいた同じマンション内でネグレクトが常態化している家庭の惨状を目の当たりにする機会があり、子どもたちの心のケアをするような仕事がしたいと考えるようになりました。それが福祉分野へ進んだきっかけです。

※ネグレクト セルフケアができない弱者の世話をする責任がある保護者が責務を怠たることによって加害者となる行為。 児童虐待、障がい者虐待、高齢者虐待、患者虐待のひとつ。

それと転勤族のサラリーマンだった父や祖父を幼い頃から見てきて、日々のライフスタイルをころころと変えるような職種は向いていないなと思っていたのも要因の一つです。

そんなこともあって福祉分野において全国トップクラスの日本福祉大学へ入学を果たすことで初めて愛知へ来ました。大学では様々な福祉分野を学び、卒業も近づいていよいよどの道に進むかとなった時、当時の福祉分野において一番遅れている印象を受けたのが障がい者福祉でした。

それこそ障がい者の多くは郊外の施設での作業が多く、家族以外の人とはほとんど関わり合いがありません。それがどこか閉鎖的で、とても嫌な気持ちになったのを覚えています。

元々の性格がひねくれているのもありますが(笑)、そうした経緯があり、一番遅れている印象を受けた障がい者福祉の分野で頑張ってみようと決意を固めました。

大学卒業後は岐阜市の精神科病院で相談員として、医療費や福祉の相談を受ける仕事をしていました。

その後、福祉や介護について知見を広げたいと思うようになり、役所の職員になるのが一番早いと考え、ちょうどその頃福祉経験者で中途採用をしていた半田市役所の職員になりました。市役所職員として5年勤める中で福祉分野に関わるノウハウを貯め、今から7年前の2015年に特定非営利活動法人リナストを設立しました。

【社名の由来は「リンク(繋がり)」と「トラスト(信頼)」を掛け合わせたもの】

開業場所を半田市に選んだ理由は、大学生の頃よく遊びに来ていて、とても地域愛溢れる魅力的な街だと思ったからです。

普段どのようなお仕事をされているのでしょうか?

現在こちらの施設では軽度の障がいを持った35名程度の利用者様への就労支援を行っています。

※就労支援 国が進める雇用政策のひとつで、障がいや疾患、貧困や年齢などの理由により、働くことに困難がある人を対象に、就職し働き続けていく過程を支援する制度のこと。

弊社では利用者様に企業様からDMの個包装や加飾(内職)を行っていただき、得た売上金から経費を差し引いて利用者様で分配しています。

ただこれには発注先からの依頼量が安定せず、納期厳守という厳しい取り決めがあるため、苦労も多いです。

加飾・内職作業で作られた製品

利用者様に対し少しでも健常者に近い職業能力向上と報酬を得られるように、4年前新たにサンチュの水耕栽培を行う会社(株式会社グリーンアイル)を設立しました。現在リナストの利用者様の多くは、就労支援の一環でこちらの会社で水耕栽培の業務を行っていただいています。

利用者様の働き口を自社グループ会社へ派遣する形にしたことで、安定した仕事量の確保と報酬増で利用者様へ分配できる金額も増えました。そしてなにより利用者様にサンチュの卸先へ配達業務にも同行してもらうことで、自分たちが育てた物が直接お客様へ届けられる過程を見てもらうことができるようになりました。直接お客様から感謝されたり、自分たちが社会の歯車の中で役立っていることを実感でき、充実感や自信にも繫がったと考えています。

少しずつですがこの事業も軌道に乗り始めましたので、今後の展望としては利用者様が一般社会で活躍できるような仕組みや声かけをしていきたいと考えています。

読者の方へ

弊社では利用契約をした方だけではなく、半田市にお住まいで障がいを持つ方ならどなたでも利用できるフリースペース(半田市委託事業 フリースペース パーチ)も運営しています。是非お気軽にお立ち寄りください。

フリースペースパーチ外観①
フリースペースパーチ外観②

障がい者イコール郊外の施設という立地は絶対に嫌でしたので、半田でも中心街に近い場所にこの施設を建てました。障がい者がもっと地域にとけこみ、「繫がり」や「信頼」を得られると良いなと思います。

「リナスト」という社名には「リンク(繋がり)とトラスト(信頼)」という意味が込められています。私も含めスタッフ全員一丸となって、利用者の方々に「繋がり」と「信頼」を実感していただけるよう努めて参ります。

特定非営利活動法人リナスト
TEL 0569-47-6471
〒475-0837 半田市有楽町1丁目26番地

制作/著作  半田商工会議所青年部 広報委員会
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