File No.1 榊原顕太郎法律事務所 榊原顕太郎 さん

士業

平成21年2月27日、日本におけるその後の交通事故裁判の損害賠償額算定基準に大きな影響を与えることとなる画期的な判決が名古屋地方裁判所で下された。
ある交通事故の被害者が事故の直接的な外傷ではなく、その後の過度な精神的ストレスによって左手の指が硬直してしまうという耐え難い症状に苦しめられていた。
通常このようなケースの場合、症状と交通事故との因果関係の立証が困難であることが多い。さらに、先の見えない交渉の困難さや、それにかかる膨大な工数を勘案すると、言葉は適切ではないが、純粋にビジネスとして割り切って考えたとき、積極的に交渉を引き受ける弁護士があまりいないのも実情だ。
だが、榊原顕太郎は違っていた…

「こういう人を絶対助けなければいけないと思ったんだよね。」

飄々とした語り口とは裏腹に、被害者のために何とかしなければならないという強い覚悟が言葉にみなぎる。
立証は困難を極めた。
膨大な医療記録の読み込みと検討、医学文献の調査、主治医との面談・聴き取り、さらには裁判官を被害者の病院まで引っ張り出し、そこで証人尋問まで行った。
そうした地道な活動をもとに行った客観的証拠の積み重ねと着実かつ冷静な交渉はついには裁判官の心を突き動かすことになる。実に弁護の受任から3年の歳月が流れようとしていた。
被害者の症状と事故との因果関係が認められ、損害賠償を勝ち取ったのだ。

「裁判官も人の子。裁判の過程で被害者救済の一助となる判断をしなければいけない、との境地に立ってくれたんだと思う。」

顕太郎は淡々とつづける。

「このときの経験が僕の強みとなって今の仕事に生きていますね。誰でもできる仕事はやりたくないのが僕の信条ですから。この裁判は被害者の立場になれば当然の結果ですよ。」

言葉にこそ出さないが、それは間違いなく弁護士冥利に尽きる瞬間であっただろう。

”顕太郎の目”はそれを物語って いた。

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新年度記念すべき1回目の事業所Focusはもちろんこの方、2019(平成31)年度半田商工会議所青年部会長、弁護士である榊原顕太郎さん。

冒頭のエピソードは彼が担当した交通事故裁判での活躍ぶりの実例である。実は交通事故での損害賠償額の算定基準に大きな影響を与えたスゴ腕弁護士さんだったのだ。

ところでみなさんは弁護士と聞くとどんな仕事を思い浮かべるだろうか。何となく知っているようで、実はよく分からない方も多いのではないか。そのような疑問から会長としての想いまでお聞きすべく、桜がほころび出した3月某日、知多半田駅の南に位置する半田名鉄南館ビルの事務所を訪問し取材させてもらった。

—弁護士になったきっかけを教えてください。

よく聞かれる質問なのですが、これがきっかけだという明確なものがあったわけではないんですよ。最初は(法令違反者を裁判にかける側の)検察官になろうと思っていました。最終的に自由な立場で世間の皆さんのお役に立ちたいという気持ちから弁護士の道を選びました。

—今更ですが、どんな仕事をされているのですか。

弁護士って一見わかりづらい職業だと思うんですよ。
業務内容としては、交通事故、債務整理、離婚、相続、高齢者の財産管理、成年後見、法律顧問、労務管理、労災事件・・・挙げたらキリがないんですが、全方位でやります。
最近法律事務所の中には、特定分野に特化して業務を行うところが増えていますが、やはりあらゆる分野に対応できることが弁護士のあるべき姿と考え、未知の業務領域へも積極的にチャレンジしています。

—その中でも得意分野や力を入れたい業務は何でしょうか。

実は当事務所に寄せられる相談の約4割が交通事故案件です。他の法律事務所に比べて経験値も高く実績があります。業界では著名な解説書や裁判例集に掲載された実績も多くあるんです。今後は企業の法律顧問契約や中小企業向けの経営相談にも力を入れていきたいですね。

※ちなみに顕太郎さんは中小企業診断士の資格も有しており、知多半島で同資格を持ちながら弁護士をされているのは彼だけだそうだ。

—そんな顕太郎さんが、青年部会長になられました。本年度の活動方針についてお聞きします。方針の一丁目一番地に”会員のレベルアップと社業の発展”という言葉がありますが、これはどのような趣旨なのでしょうか。

半田YEGには130名ほどの青年経済人が所属していますが、正直言って、まだまだ伸びしろがあるメンバーが多くいると感じています。というのも”商工会議所”の”青年部”なのですから、もっとビジネスの話をメンバー同士で語り合う機会があってもいいと思うし、お互いの仕事のことをもっと知るべきです。青年部の活動に参加して事業を成功させることだけが目的ではないんですね。青年部活動を通じてお互いの信頼関係を構築し、それが基盤となりビジネスの拡大へとつながっていく。
さらに自身のスキルアップを常に意識し、自己研鑽の視点も忘れないでほしいです。
半田が盛り上がるためには僕らが盛り上がらなければ絶対に実現できません。そのためにも何はなくとも皆でさらなるビジネスのレベルアップを図っていかなければならない、という想いからこの言葉を掲げました。

—まったくそのとおりですね。ちなみに顕太郎さん自身もスキルアップのために個人的にチャレンジすることはありますか。

そうですね。実は今年は宅建とマンション管理士の資格も取ろうと思っています。ここで話してしまうとやらざるを得なくなりますね…(笑)。資格も活用してメンバーの皆さんとビジネスでも連携していきたいですね。

—熱い想いありがとうございます。最後に読者の方へメッセージをお願いします。

僕ら世代の経済人にとって、いまこの瞬間というのはとても大事だと思います。時間は有限です。この時間を無駄にしてはいけないと強く感じます。そんな大切な時間であり、誰もが忙しいさなか、青年部活動に参加している意義、意味というのを意識して臨まないと意味がありません。
一方で青年部活動は強制されてやるものでもありません。活動1つ1つが自分自身のこととして捉えられれば、自ずと結果は見えてくると思います。
新年度のスタートにあたり皆さんには”そもそも青年部活動とは”について改めて考えていただければと思います。

これから1年間よろしくお願いいたします。みんなで成長していきましょう。

ありがとうございました。


榊原顕太郎法律事務所
半田市昭和町一丁目35番地 半田名鉄南館ビル3階
TEL 0569-84-1784
営業時間 平日 9時から17時30分
http://www.sakaki-law.jp/


制作/著作  半田商工会議所青年部 総務・広報委員会
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