NO.7株式会社旭モータース 大岩哲之さん

今回の事業所インタビューは、半田市旭町と知多郡美浜町に事業所を構える「株式会社旭モータース」代表取締役 大岩哲之さんにお話しを聞きました。

事業の自動車販売整備業では、「アフターフォローこそが我々の役目である」と、常にお客様に寄り添ったサービスを展開。今年の10月には、新規事業として24時間フィットネスジム「SUNNY FLOWS(サニーフローズ)」をオープン。自動車屋さんがフィットネスジム?と思われるかもしれませんが、そこには一貫する「とにかく人が好き」という大岩さんの想いが込められています。 今回は、大岩さんの想いにスポットを当てながらインタビューをしました。

原点

実家はいわゆる町の「自動車屋さん」。その長男として大岩さんは生まれました。幼少期には工場を遊び場に、先代であるお父様の背中を見ながら成長してきました。自営業の長男にとって「跡継ぎ」は宿命と思われるかもしれませんが、大岩さんは意外にもそんなプレッシャーを感じたことはなかったそうです。就職活動期にあたる2003年頃は、いわゆる氷河期。銀行や証券会社をいくつも受けたそうです。その中でたまたま就職したのが大手のカーディーラーでした。家業の様な車関係で働きたいという想いはなかったそうですが、これが人生のターニングポイントとなりました。

上司との出会い

カーディーラーでは、営業職に就きました。10代の頃は、実家でタイヤ交換や整備の手伝いをしていましたが、営業は初めての仕事。意欲はあるものの車が売れない時期を3年ほど過ごしました。そんな中、先輩との出会いが大岩さんを大きく成長させます。
「車を売るのではなく、人を売るんだ!」
入社以来、まじめに車のことを覚え、お客様に車を売り込もうとする姿を見てくれていた先輩からの言葉でした。
「まずは、お客様に自分自身を好きになってもらうこと。その為にお客様を自分自身が好きになることから始めなさい
このアドバイスを得たことで大岩さんは、次第に成績を伸ばしていきます。お客様の好きなものは何か。どんな趣味をもっているのか。時には自分自身のことを呼び水として話しながら、お客様の言葉を引き出し、想いに寄り添っていきました。次第にお客様の方から話しをしてくれるようになり、話の中からインプットした情報を元にして、要望に沿った車の提案ができるようになっていきます。結果は自ずとついてきました。多い時には年間で180台以上、月に28台を販売。トップセールスとして表彰を受けるほどに成長していきます。大岩さんはこのスタイルの営業を続けることで、自分は「人が好きだ」ということに気づいていきました。

家業を継ぐ

売り上げの成績も好調で、この会社で働き続けていきたいと考えていた頃、第2のターニングポイントが訪れます。会社の方針として業販を減らしてディーラーでの販売に力を入れていくことを耳にします。業販とは業者販売、つまり町の自動車屋さんへの卸し販売を縮小するという方針です。大岩さんが「人を売る」を実践していたのは、お客様だけではありません。取引先として関わっていた町の自動車屋さんともよい関係を築いていました。そんな人たちに悲しい思いをさせたくない・・・
当時はハイブリット車が勢いに乗り、自動車業界も大きく変わろうとしていました。時代の変化に町の自動車屋さんは翻弄されていました。この時、大岩さんには同じ町の自動車屋さんである実家のことを思い出します。大岩さんは、「父親が作った会社を守りたい」という一心で家業へと戻る決意をします。

アフターサービスこそが私たちの役目

実家に戻って大岩さんがまず考えたのは、大手との差別化について。町の自動車屋さんにしかできないことがあるはず。大手のディーラーで働いていたからこそ、差別化を図り、強みを打ち出していく必要があると感じていました。その答えは父である安道さんの働く姿にありました。
 遠方でお客様が事故をしてしまったときに、夜中でもすぐに駆け付ける。そんな父の姿を見てきました。

「一人では不安だろう…知らない保険屋さんよりも、顔に馴染みのある人が来た方が安心してくれる。」
お客様に身近な存在として、関係を築いていくことが町の自動車屋さんがやるべきことである。自動車を買ってもらってから、本当のお付き合いが始まる。 今では、お父様がこれまで大事にしてきたことを経営理念として掲げています。

お客様のお車をお預かりすることは「心をお預かりすること」である。

この理念のもと、大岩さんのアイデアを基にカフェスペースを設けた新店舗をオープン。大岩さんが家業に戻って3年目の平成27年のことです。この新たな店舗にはお客様に気軽に立ち寄ってもらいたいという想いが込められています。お洒落なカフェと間違えてしまうほどゆったりとした空間が広がる店内。「自分を好きになってもらう」という営業スタイルを実践するにはもってこいの場所。

ハワイをイメージした店舗。随所に大岩さんのこだわりがうかがえる。
強みを打ち出したチラシをお客様にお渡ししている。

社員の成長は会社の成長

社長が先頭に立っているが、みんな(社員)がいないと旭モータースという船は進まない。社員あっての会社だと、大岩さんは話します。社長の役目は、社員のモチベーションを上げることが役目。社員のがんばりをお給料に反映させるために人事評価制度や、業務の負担を減らすためのDX化など、新たなことを導入し続けています。今特に力を入れているのがDX化です。工場のスケジュール管理や社内の各種業務フローなどの多くはパソコンで管理されています。また、LINE公式アカウントを活用して、お客様と車検や点検の段取りを進めています。DX化で業務の負担を減らすことで、社員に心の余裕を持ち仕事の楽しさを知ってもらいたい。大岩さんは、主体性をもった社員が成長してくれたら会社も成長していけると考えています。

工場のスケジュール管理もDX化

自動車屋さんが始めたフィットネスジム

今年の10月に新規事業としてオープンした24時間フィットネスジム「SUNNY FLOWS」。自動車屋さんがなぜ?と多くの方は思われるかもしれません。やはりここにも大岩さんの「人が好き」がベースにありました。きっかけは祖母の政子さん。大岩さんは、政子さんが免許返納を機に元気がなくなっていく姿をみてきました。運転ができなくなって行動が制限されたことが一つの原因だったかもしれないと感じていました。
公共交通機関が行き届いていない知多半島では、シニア層の免許返納が課題となっています。「時間帯や天候を考慮して、元気なシニア世代であれば運転してもいいのでは?」
この考えを基にしてできたのが、SUNNY FLOWSです。ジムとしての機能だけでなく、ドライビングシミュレーターを導入し、他にはないフィットネスジムが誕生しました。運転の練習をしながら体も鍛えることで、運転年齢を伸ばすことができる。お客様に少しでも長く安全に車に乗ってもらうことを目指しています。
既存の自動車販売整備業とも相互作用があり、新たなビジネスモデルとして業界から大きな注目を集めています。

イエローで統一されたマシーンが並ぶ
特徴であるドライビングシミュレーター。やってみると意外と難しい。

お客様だけでなく、スタッフや友人、関わる全ての人を好きでいたい。そこに大岩さんの原点があります。そして、先代の想いを受け継ぎ形にしてきました。今回のインタビューを通じて、長年地域から愛される「旭モータース」の理由が見えてきました。

人や地域を愛すること、そして広い視野をもってひたむきに努力を積み重ねる人柄。そんな大岩さんが、次にどんな事業を展開していくのか楽しみです。

<プロフィール>
大岩哲之(おおいわてつゆき)
昭和57年3月20日生まれ

株式会社 旭モータース 代表取締役社長
趣味:ランニング

スズキアリーナ半田旭
〒475-0838 愛知県半田市旭町4-58-2
TEL 0569-84-7200

スズキアリーナ美浜旭
〒470-2413 愛知県知多郡美浜町古布溝相3-1
TEL 0569-82-0991

アサヒライフ(保険代理店)
〒475-0838 愛知県半田市旭町4-58-2
TEL 0569-89-6700

SUNNY FLOWS(サニーフローズ)(フィットネスジム)
〒475-0838 愛知県半田市旭町4-65
TEL 0569-84-3226

制作/著作  半田商工会議所青年部 広報委員会
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